君との想い出が風に乗って消えても(長編)
「わたし、この景色、絶対に忘れない」
……加恋ちゃん……。
「優くんと一緒に見たこの景色を……」
「僕も忘れないよ。加恋ちゃんと一緒に見たこの景色を」
「優くん……」
「加恋ちゃん……」
僕は加恋ちゃんに寄せていた身体を起こした。
加恋ちゃんも僕に寄せていた身体を起こした。
「……加恋ちゃん……」
「優くん……」
僕は加恋ちゃんの頬に手をやさしく添えて……。
加恋ちゃんにキスをした……。
僕と加恋ちゃんが乗っている観覧車が地上に着き、僕と加恋ちゃんは観覧車から降りた。
「加恋ちゃん、次は何がいい?」
「優くん……」
「うん?」
「あの建物は……?」
「建物……ああ、あれはお化け屋敷だよ」
「お化け屋敷……?」
あれ……? 加恋ちゃんは、もしかしてお化け屋敷を知らないのかな……?
「入ってみる?」
「え……」
「お化け屋敷に」
僕は加恋ちゃんにお化け屋敷に入ってみるかどうかを訊いてみた。