君との想い出が風に乗って消えても(長編)



 この町から……僕のもとからいなくならないでよ……。

 僕は、そう思うと辛くて辛くて……。


 僕は加恋ちゃんのことを抱きしめた。


「優くん……」


「…………」


「優くん……?」


「……いかないで……」


「……え……?」


「……お願いだから……ずっと僕のそばにいて」


「……優くん……」


「……嫌だよ……加恋ちゃんが僕のもとからいなくなるなんて……」


 そんなの絶対に嫌だ。


「……加恋ちゃん……僕たちまだ中学生だからこんなことを言うのは早すぎると思うんだけど……」


 僕は言わずにはいられなかった。


「……僕は……加恋ちゃんと……結婚……したい……」


「……優くん……」


「……加恋ちゃんは……どう思ってる……?」


 ……焦っていた……。

 僕は焦っていた。


「……え……」


 加恋ちゃんは戸惑っている様子だった。


 ……でも……僕は……。


「加恋ちゃんは僕との結婚どう考えてる?」


 加恋ちゃんが本当に僕のもとから消えてしまいそうで……。


 だから僕は加恋ちゃんのことを引き止めたくて……。


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