君との想い出が風に乗って消えても(長編)



 何度も加恋ちゃんに……。


「僕は加恋ちゃんの気持ちが知りたい」


「……優くん……」


「加恋ちゃん……」


 待てないよ……。


 加恋ちゃん……僕は……僕は……。


「……優くん……」


 ……加恋ちゃん……‼


「……あのね……優くん……」


 ……?


 加恋ちゃんの声のトーンが少し下がったような気がした。


「……今日なの……」


「……え……?」


「……時期が来たら話すって言ってたこと……」


「……まさか……」


 まさかあの言葉……。





『来年の今頃は、ここにはいない』





 加恋ちゃん……。


 加恋ちゃんは、しばらく無言になった。


 加恋ちゃんが無言になっている間、僕は不安でたまらなかった。


 今まで気になっていた言葉。


 そして加恋ちゃんから時期が来たら話すと聞いたときから僕は、ずっとずっと不安だったんだ。


 加恋ちゃんがそれを話すのはいつなんだろう……。


 ……でも本当は、そんなときが来なければいいと思っていた。


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