君との想い出が風に乗って消えても(長編)
「最初は優くんと一言だけでもお話ができればいいと思っていただけだったのに気持ちがそれだけではすまなくなってしまったの」
……加恋ちゃん……。
「それから優くんと接していくうちに、だんだんと優くんへの想いが募ってしまって……」
……加恋ちゃん……。
「友達として一緒にいられるだけで幸せなはずだったのに……それ以上の関係になってはいけなかったのに……」
……どういう意味……?
「わたしは優くんにお礼を言いにここに来ただけだから……」
……え……?
「わたしが転校してきた日の放課後、わたしが歌っていた歌……あれは優くんが聴かせてくれていた歌だから……」
……え……?
「優くんが、毎年、年に一度わたしがいる何日か、ほぼ毎日あの歌を聴かせてくれていた……」
……毎年……年に一度……? 何日か……? ほぼ毎日……?
……どこで……?