君との想い出が風に乗って消えても(長編)
なんで……なんで……声が……声が出ないんだ……‼
「心配しないで……わたしが消えたら優くんの記憶はなくなるから」
……え……?
「わたしの記憶は全てなくなるから」
え……?
「そういう約束なの」
……誰と……?
「神様……と言えばいいのか……天の声のような存在の人……と言えばいいのかな」
なに……それ……。
「わたしがどうしても優くんにお礼が言いたいなって願い続けていたら、突然、空の方から声が聞こえて」
空の方から……?
「『一つだけ願いを叶える』って言ってもらったの」
一つだけ……願い……?
「でも、それには条件があって、時期が来たらわたしと関わった人たちは、全てわたしの記憶がなくなるって」
そんな……そんなことって……。
それでもわたしは、どうしても優くんにお礼が言いたいという気持ちが強かったから、その条件をのんだの」
そんなの……記憶がなくなったら意味がないじゃないか‼
「だから……時期が来たときに、わたしの記憶が優くんから消えたとしても……」