君との想い出が風に乗って消えても(長編)
「……あれ……? 僕……」
目が覚めたら僕は一輪の花やたくさんの草花たちに囲まれていた。
「なんでこの場所で眠っていたんだろう……確か一輪の花やたくさんの草花たちに『また明日ね』って言って帰ろうとしていたはずなのに……」
外は薄暗くなっていた。
「そうだ、帰らないと。じゃあ、今度こそまた明日ね」
僕は、一輪の花やたくさんの草花たちにそう言ってこの場所を出た。
そして今年も、一輪の花が咲いている間は、ほぼ毎日通い続けた。