君との想い出が風に乗って消えても(長編)
僕はこの場所がとても好き。
この場所は僕にとって心の支え。
そしてこの場所は僕にとって心の中の一部。
僕は、この場所と共に生きている。
僕は、これからもずっとこの場所で生き続ける。
あのとき……。
20年前の今頃……。
一輪の花を見て辛くて苦しくて切なくて悲しくて涙が止まらなかったあの頃……。
結局、あれから僕は一度も何も思い出せていない。
あのときからずっとずっと心のどこかでつかえている何かが……。
それが何なのかは今だにわからない。
いつ思い出すかもわからない。
ずっと思い出せないかもしれない。
それでも僕は……。
僕は生きていく。
僕には……大切な家族がいるから……。
大切な妻と娘と息子がいるから。
僕は大切な妻と娘と息子と共に生きていく。
きっとそれが僕にとっても……思い出せない何かにとっても……。