君との想い出が風に乗って消えても(長編)



 この場所に咲いてくれている一輪の花さんやたくさんの草花さんたち……。


 いつもありがとう。


 これからもよろしくね……。


 僕たち家族の元気のもとの一輪の花さんやたくさんの草花さんたち。


 これからも僕たち家族はきみたちと共に生きていきます……。





「パパ、今日も歌おうよ」


「そうだね」


 この場所に来ると僕たち家族は歌を歌う。


 それはあの頃から変わらない。


 そして僕と妻と娘と息子は歌を歌い始めた。


 それに合わせてくれるかのように草花たちも揺れている。

 そして一輪の花も……。


 僕たち家族は、一輪の花も含めてここに存在するすべての草花たちに響き渡るように心を込めて歌った。




< 256 / 261 >

この作品をシェア

pagetop