君との想い出が風に乗って消えても(長編)



「……あっ……えっとね……」


 花咲さん……?


「また……転校しちゃう……の……?」


「…………」


 僕の質問に無言の花咲さん。


『来年の今頃は、ここにはいない』……そんなことを言われて気にならないわけがない。


 僕は訊かずにはいられなかった。


「……まさか……何か重い病気……とか……?」


「それは違うよ」


 それには花咲さんは強く否定した。


「……じゃあ……」


『来年の今頃は、ここにはいない』って他にどういうふうに解釈すればいいの……?


「草野くん……」


「……うん……?」


「……時期が……来たら……言うね……」


 時期が来たら……?


「……うん……わかった……」


 僕は、ものすごく気になったけど、それ以上、言うことを拒んでいる花咲さんに無理やり訊くわけにはいかなかった……。


 僕は時期が来るまで待つことにした。




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