君との想い出が風に乗って消えても(長編)
加恋ちゃんの指が僕の手に触れていて緊張でふるえそうな手を僕は必死に抑えている。
加恋ちゃんの指の体温が僕の手に伝わってくる。
その温かさは加恋ちゃんのあたたかさそのもののようだ。
僕の手に触れている加恋ちゃんが僕の方を見ている。
僕も加恋ちゃんの方を見ていた。
というより僕の場合は加恋ちゃんの純粋な眼差しに目を奪われて動きを止められているような感じになっているといった方が当たっている。
……って……うん……?
……‼
ちょ……ちょっと待って……。
もしかして……。
もしかして……このシチュエーションは…………。
……って……ダ……ダメだ……‼
僕は、そういう雰囲気になりそうになるのをどうにかしないと、と思った。
そうしないと、このままでは僕は加恋ちゃんに…………キ……ス…………してしまうかもしれない……。
僕は、このまま加恋ちゃんと一緒にジョウロを持っていてはいけない……‼
僕は、どうやってジョウロから……加恋ちゃんから手を離そうか考えた。