君との想い出が風に乗って消えても(長編)
そのあと僕と加恋ちゃんは教室に戻った。
「草野くん、花瓶の水を替えてくるね」
「ありがとう、花咲さん」
教室には他の生徒たちがいる。
だから僕と加恋ちゃんは、お互いのことを名字で呼び合う。
もうすっかり下の名前で呼ぶことが慣れているから名字で呼ぶのは少しだけ違和感がある。
そして今、加恋ちゃんが花瓶の水を替えてきてくれている。
加恋ちゃんも僕と同じ花係。
僕は加恋ちゃんと一緒に花係をやることができてすごく嬉しい。
そして加恋ちゃんが花瓶の水を替えて戻ってきた。
「ありがとう、花咲さん」
「草野くんもいつもありがとう」
僕と加恋ちゃんは、そう言って顔を見合わせて笑顔になった。
* * *
体育の授業。
「草野、お前ずいぶん花咲と仲が良いな」