君との想い出が風に乗って消えても(長編)


 部活終了後。



 少し落ち着いた感じになったみたいだから僕は加恋ちゃんの様子を見に保健室に行った。


 保健室に入ると先生や他の生徒たちも誰もいなかった。


 僕は誰もいない保健室の中を進んだ。

 足音を立てないように、ゆっくり、ゆっくりと。

 足音を立てないように進もうと思ったけど、保健室の中があまりにも静か過ぎて上履きの靴底が床に触れるたびにキュッキュッと音が出そうになる。

 僕は神経質過ぎるくらいに足をゆっくりと運ぶ。


 加恋ちゃん……。

 きっと加恋ちゃんはベッドで横になっていると思い、ベッドへ向かった。

 そしてベッドに横になっている加恋ちゃんのところに着いた。


 加恋ちゃん……。


 加恋ちゃんは眠っていた。


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