君との想い出が風に乗って消えても(長編)



 明後日から夏休み。


 僕は夏休みの間に加恋ちゃんと一緒に行きたいところがある。


 それは……僕が行っているあの秘密の場所……。


 僕は、どうしても加恋ちゃんとあの秘密の場所に行きたいと思った。


 加恋ちゃんと秘密の場所に行って、あの美しい景色を一緒に見たい。


 そして……あの美しい自然に包まれる美しい加恋ちゃんを見たい。


 加恋ちゃんと一緒にあの美しい場所で一緒に過ごしたい。


 ……ただ……。


 加恋ちゃんと一緒にあの場所に行くには加恋ちゃんのことを誘わなくてはいけない。


 どうやって加恋ちゃんのことを誘えばいいのか、僕はその言葉が思いつかなかった。


 たぶん普通に誘えばいいのだと思うのだけど……。


 でも、やっぱり加恋ちゃんのことを誘う勇気がない。


 そして僕はこう思った。


 加恋ちゃんのことを誘わなくても加恋ちゃんと一緒にあの場所に行く方法はないのかな……と。


 でも……。


 でも、やっぱり加恋ちゃんのことを誘わなければ、加恋ちゃんと一緒にあの場所に行くことはできない……のだろう。


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