君との想い出が風に乗って消えても(長編)
僕は加恋ちゃんの後を追う。
逃げる加恋ちゃん。
追いかける僕。
僕は加恋ちゃんのことを追いかけて、もう少しで加恋ちゃんに追いつくことができそう。
もう少しで加恋ちゃんに追いつき、そして加恋ちゃんの手を……。
「あっ‼」
突然、強めの風が吹いた。
そのときに加恋ちゃんかぶっている麦わら帽子が宙に舞った。
加恋ちゃんは宙に舞った麦わら帽子を追いかけた。
僕も加恋ちゃんの麦わら帽子を追いかけた。
そして加恋ちゃんが宙に舞っている麦わら帽子に追いついたとき、僕もちょうど加恋ちゃんと同じタイミングで麦わら帽子に追いついた。
「あっ‼」
僕と加恋ちゃんが同時に麦わら帽子を手に取ったときに、体制が崩れて僕と加恋ちゃんは草のじゅうたんに倒れ込んだ。
加恋ちゃんは草のじゅうたんに仰向けに倒れていた。
そして僕は……。
僕は加恋ちゃんの上には倒れ込まなかったものの、加恋ちゃんを覆いかぶさるような体制になっていた。
僕も加恋ちゃんも無言のまま。
そんな僕と加恋ちゃんをやさしい風が包み込む。