君との想い出が風に乗って消えても(長編)



「……わたしは……そういうことを……しては……ダメ……なの……」


「なんで……どうして……加恋ちゃん……」


「…………」


 加恋ちゃんは何も言わない。


「……加恋ちゃん……」


「…………」


 加恋ちゃんは、まだ何も言わなかった。


 僕は、なにがなんだかわからなくなっていた。


 どうして加恋ちゃんは……キス……をしてはダメなのか……。


 ……ダメ……?


 違う。


 ダメ……というより……。


「……加恋ちゃん……僕と……する……のが嫌だった……?」


 のかもしれない……?


 訊くのは怖いけど……訊かずにはいられない……。


「違う‼ そうじゃないの」


 加恋ちゃん……。


 それなら……。


「……じゃあ……なんで……」


「…………」


 ……加恋ちゃん……。


 ……‼


 ……加恋ちゃん……もしかして……。


「……加恋ちゃん……ひょっとして……あのことが関係あるの……?」


「え……?」


「あのとき……加恋ちゃんが転校してきたときに僕に言ったあの言葉……」


「……あの……言葉……?」


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