君との想い出が風に乗って消えても(長編)
「え……でも……」
いくら花咲さんがそう言ってくれても、やっぱり手伝ってもらうのは悪いと思ってしまう。
僕は戸惑いを隠し切ることができずにいた。
すると……。
「草野くん」
そんな僕の様子を花咲さんは感じたのか、やさしく声をかけてくれた。
「私は草野くんの隣の席でしょ。だから私も日直だよ」
花咲さんは笑顔でそう言った。
確かに花咲さんの言う通り、花咲さんは僕の隣の席だから花咲さんも日直なのだけど……。
「でも、花咲さんは今日転校してきたばかりだから……」
僕は自分の今の気持ちを花咲さんに言った。
「そんなこと関係ないよ。私は草野くんが持っているノートを一緒に持ちたいだけだから」
花咲さんはそう言って、さっきのように天使のような笑顔を見せた。
僕は、そんな花咲さんの笑顔に見とれてしまった。
そして僕は、その笑顔に自分の頬が熱くなっていることを感じた。
きっと今の僕の顔は真っ赤になっていると思う。
そして胸の鼓動も、また少しずつ激しくてなっていることを感じていた。