君との想い出が風に乗って消えても(長編)
「優くん、いろんな店をまわろうね」
加恋ちゃんはそう言うと、僕の手を両手でぎゅっと握った。
浴衣姿の加恋ちゃんに両手でぎゅっと握られた僕は、頭がクラクラしてきた。
これは熱中症ではない。
僕は確実に加恋ちゃんにのぼせていた。
「か……加恋ちゃん……店をまわる前に、ちょっと水を飲んでもいいかな」
僕は加恋ちゃんにのぼせているのを少し落ち着かせようと思った。
「うん。暑いし飲んだ方がいいよ」
「ありがとう、加恋ちゃん」
僕は自動販売機がないか周りを見渡した。
すると、ちょうどいいところに自動販売機が見えた。
僕は、そこの自動販売機で水を買った。