君との想い出が風に乗って消えても(長編)
今の僕はかなりの緊張でガチガチになっている。
こんなにもわかりやすくガチガチになっていたら、花咲さんに気付かれてしまう。
……って、花咲さん⁉
花咲さんは僕の顔が赤くて、緊張でガチガチになっている様子に気付いたのだろう。
花咲さんは僕の顔を覗き込んだ。
僕の顔を覗き込んだ花咲さんの表情は心配そうな表情に変わった。
「草野くん、大丈夫? 顔赤いけど熱でもあるの? 心配だから保健室に行こ。ノートはわたしが全部職員室に持っていくから」
花咲さんはそう言って僕が持っているノートを全部持ってくれようとした。
「は……花咲さん、大丈夫だよ。たまたまちょっと暑かっただけだから。ありがとう、心配してくれて」
まさか花咲さんに、花咲さんに見とれて顔が赤くなったとは言えない。
「本当に大丈夫?」
まだ心配してくれている花咲さん。
「うん、大丈夫だよ。本当にありがとう、花咲さん」
「大丈夫そうならよかった」
心配そうにしていた花咲さんの表情が安心した表情に変わった。