君との想い出が風に乗って消えても(長編)
8月の下旬。
今日は、ついに加恋ちゃんを家に招待する約束の日。
母さんと父さんは仕事で、妹は友達と遊びに行く約束をしている。
なのでこの日に決まった。
母さんも父さんも妹も、すでに家を出た。
だから家にいるのは僕一人。
僕は一人家にいながら緊張していた。
僕は初めてだった。
女の子を家に招待するのは。
しかも母さんや父さんや妹がいないときに。
家に家族がいるときでもいないときでも加恋ちゃんを家に招待するのは緊張はするけど、わくわくしている気持ちもある。
加恋ちゃんと何を話そうとか、そういうことを考えると楽しくなってくる。
今、僕の心の中は緊張とわくわくした気持ちが混ざっている。