激愛～一途な御曹司は高嶺の花を娶りたい～

彼が茶化しながら口の前に人差し指を立てるので、暗くなりかけた雰囲気が和んだ。


最初の緊張が解け、それからは食事を楽しみながら話を続けた。


「宝生さんはなんのお仕事をされているのですか？」
「私は……」


彼はスーツの内ポケットから名刺を取り出して私の前に置く。


「外資系の経営コンサルタント会社『アドバンスファーム』に勤務しています」
「あっ、『La mer TOKYO』……」


知っているビルの名前が書かれているので思わず口にする。


「ご存じですか？」
「はい。『プレジール』のアボカドサンドが好きで、時々行くんです」


このビルに入店しているカフェがとてもおしゃれで、しかも落ち着くのでたまに使うのだ。

しかし、あのビルの上層階は超優良企業のテナントばかりで、年収が何千万とか何億とかいう人がごろごろしていると聞いたことがある。

宝生さんもその一員？