激愛~一途な御曹司は高嶺の花を娶りたい~
サルビアの花言葉  Side太一

今日も忙しかった。

深く関わっているクライアントの宮城グループでは、副社長就任パーティまでこぎつけひと息つけたが、もうひとつの担当、大手スポーツ用品メーカー『レーブダッシュ』の海外メーカーの買収が簡単にはいかず、午後からずっと専務と策を練っていた。

宮城副社長もレーブダッシュの浅海(あさみ)専務も、俺と同じ跡取り――いわゆる御曹司で、実は気が合う。

生まれながらにして会社を背負ったという幸運と、その裏にある理不尽さの葛藤と常に闘っていることを理解しあえる同志なのだ。


俺たちはなにかにつけて恵まれた環境にあると言われがちで、その通りであると思う。

しかし一方で、宮城副社長も浅海専務も、好きな人との結婚がすんなりはいかなかったようだし、数万人にも上る社員とその家族の生活に責任を負うというとてつもないプレッシャーも背負っている。
< 149 / 333 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop