激愛~一途な御曹司は高嶺の花を娶りたい~
「今日は、お兄さんに甘えてください。太一さん、私は先に失礼しますね」


まさかの展開でとっさに返事ができなかったが、紬が俺に微笑みかけるので、彼女の言う通りにした。

加代とふたりで話すのは久しぶりだからか、紬が帰ったあとは妙な空気が漂う。

でも、せっかく得られた機会だ。加代ときちんと向き合いたい。


「今日はマナーなんてどうでもいいから好きなだけ飲め」

「私がお酒に強いと知ってての発言? お店のシャンパン、飲み干すわよ?」


ようやく加代が白い歯を見せた。

ずっと待ち望んでいた彼女の笑顔をたった数分で引き出した紬はあっぱれだった。


それから加代は、宣言通りシャンパンをすごい勢いで飲み、料理をパクパク口に運んだ。

豪快ではあるが、幼い頃からしつけられているせいか、所作は完璧だ。
やはりこれは努力して身につけたのだろう。
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