激愛~一途な御曹司は高嶺の花を娶りたい~
「加代。俺が余計なことをして怒っているのはわかってる。でも――」

「私、お兄ちゃんが心配してくれてるのは、わかってた。あの人の浮気はなんとなく勘づいていたし」


俺の発言を遮った加代は、気まずそうにチラッと俺に視線を送る。

浮気にも気づいていたのか。


「でも、最低の男だと見抜けなかったなんてかっこ悪くて、気づかないふりをしてた。だからお兄ちゃんに指摘されたとき、自分が情けなくて恥ずかしくて、なんでわざわざ調べたの!ってすごく腹が立って……」

「うん」

「でも本当は、もうこの人にしがみつかなくてもいいんだって、ホッとしたの。お兄ちゃんに怒ったのも、完全な八つ当たり」


加代は目頭をそっと押さえる。


「八つ当たりくらいいくらでもすればいい。それで加代が楽になれるなら、本望だ」

「ありがと」


まさか加代の口からお礼が出てくるとは。
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