激愛~一途な御曹司は高嶺の花を娶りたい~
彼女は丁寧に名刺を差し出すものの、私を見据える視線が冷たく感じる。

フラワーアレンジの件で意見が割れたからだろう。

『どうりで』というのは、妻だから太一さんがかばったと言いたいのだろうか。

きっと彼は、別のフローリストが担当しても同じ発言をしたと思うけど。


彼女の名刺には【アナリスト】と記されてある。

ということは、情報収集や分析を担当する人だ。
詳しく聞いてはいないが、太一さんの直属の部下のようだ。


「宝生さんはクライアントとの電話が長引いていて、私が代わりにお預かりします」

「はい。よろしくお願いします」

「失礼ですけど」


書類を受け取った彼女は、私の頭からつま先まで視線を動かしたあと眉をひそめる。
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