激愛~一途な御曹司は高嶺の花を娶りたい~
恥ずかしくて視線を外してうなずくと、太一さんは私の顎を持ち上げてまっすぐに見つめる。


「愛してるよ」


そしてとびきり甘い言葉が耳に届いた瞬間、唇が重なった。

太一さんと一緒にいると満たされて自信が持てる。

惜しみなく愛をささやく彼に丁寧に抱かれると、自分の価値が上がっていくような気さえするのだ。


ただ、私に対する周囲の目が好意的でないのは、大沼さんの発言からもわかる。

私は彼に〝ふさわしくない〟妻なのだろう。


でも、太一さん自身が私を必要としてくれるのだから、余計な発言には耳をふさいでおきたい。

たとえ、心の中に小さな傷ができたとしても。


だし巻きたまごとカボチャの煮物、そしてきゅうりの漬物とお味噌汁を並べると、彼は笑顔になる。

特に豪華な食事でなくても、本当においしそうに食べてくれるのがうれしい。


「いただきます」


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