激愛~一途な御曹司は高嶺の花を娶りたい~
うなずきたいところだけれど、大沼さんの『来られないとなると、その理由を詮索されるでしょうね』という発言が引っかかって考えてしまう。

想像するに、〝お披露目するのが恥ずかしい嫁〟と私の悪口が出るのだろう。

それで太一さんまで悪く言われたら申し訳なさすぎる。

日曜は仕事が入っていたが、店舗での勤務のみで外回りはない。
誰かにシフトを代わってもらえるはずだ。


「私、行きます」

「でも……」

「きっと、太一さんの妻ならこれからもこうしたことはあるでしょうし、慣れないと」


なんて虚勢を張ったものの、内心は不安しかない。

しかし、太平物産の次期社長ともなれば、上流階級の人たちとのかかわりは避けられないだろうし。

すぐに奥ゆかしさが身につくはずもないが、周りを観察して少しずつ所作を覚えていこう。


「そんなことのために結婚したんじゃないけどな」

「わかってますよ」
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