激愛~一途な御曹司は高嶺の花を娶りたい~
「そうだった。それでは失礼します」


珍しく顔を真っ赤にした太一さんは、副社長を促してエレベーターに向かった。

彼は私にだけ見えるように、背中のうしろで手を振る。
それがなんだか秘密のやりとりのようで、ドキッとした。



その日は比較的早めに帰ることができたため、太一さんの好きなビーフシチューを煮込みながら、ふと思いついた山村さまの装花のスケッチをしていた。

メインテーブルのイメージ図を描きながら、宮城副社長の『宝生さんがどれだけ奥さんにべた惚れだったか』という言葉を思い出していた。


「そんなに?」


副社長となにを話していたのだろう。

ひとりが好きだとこぼしていた太一さんだけど、副社長には心を開いているように見えた。

おそらく、仕事でタッグを組むうちにそうした関係を築いていったのだろう。

それに宮城副社長も御曹司らしいので、似たような境遇でわかり合えるのかも。
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