激愛~一途な御曹司は高嶺の花を娶りたい~
いい香りがして、緊張のこの場で唯一の安らぎとなっている。
「こちらのお部屋です」
長い廊下を歩き、一番奥の部屋で立ち止まった仲居さんはひざをつき、「お連れさまがいらっしゃいました」と声をかけてから障子を開けた。
いよいよ対面だ。
店長は、お相手が私より四歳年上の三十歳の男性ということ以外教えてくれず、写真すら見ていない。
とにかくお見合いに行ってほしいの一点張りで、なにかわけでもあるのかなと首を傾げている。
障子が開いた瞬間、お相手の顔を見る前に深く腰を折った。
「初めまして。重森紬と申します」
一、二、三。
心の中で数を数えてからゆっくり体を起こし始めると、お相手が立ち上がって近づいてきたのがわかった。
「お越しいただけてうれしいです。宝生太一(ほうしょうたいち)と申します」
「あ……」
間が抜けた声が出てしまい、慌てて口元を押さえる。
「こちらのお部屋です」
長い廊下を歩き、一番奥の部屋で立ち止まった仲居さんはひざをつき、「お連れさまがいらっしゃいました」と声をかけてから障子を開けた。
いよいよ対面だ。
店長は、お相手が私より四歳年上の三十歳の男性ということ以外教えてくれず、写真すら見ていない。
とにかくお見合いに行ってほしいの一点張りで、なにかわけでもあるのかなと首を傾げている。
障子が開いた瞬間、お相手の顔を見る前に深く腰を折った。
「初めまして。重森紬と申します」
一、二、三。
心の中で数を数えてからゆっくり体を起こし始めると、お相手が立ち上がって近づいてきたのがわかった。
「お越しいただけてうれしいです。宝生太一(ほうしょうたいち)と申します」
「あ……」
間が抜けた声が出てしまい、慌てて口元を押さえる。