激愛~一途な御曹司は高嶺の花を娶りたい~
彼は部屋に足を踏み入れると、一瞬目を見開いてから歩み寄ってきた。


「なんてきれいなんだ」
「そんな……」


感嘆のため息交じりに褒められて、頬が上気していく。

踏まれた花を買い取ってくれた優しい紳士がお見合い相手だと知ったときは、ひどく驚いた。

しかし、それよりびっくりしたのは、とてつもなく社会的地位のある人だということ。

だからこそ、あまりに住む世界が違うと悩んだ結婚ではあったが、悩んだとて彼と一緒に生きていくことはもうずっと前から決められていた運命だったような気がする。


妻となった今でも、彼にふさわしいかと考えると自信はない。

けれども、太一さんと一緒に生きていけるなら、これからどんな努力でもするつもりだ。


「紬が隣を歩いてくれるなんて、とんだ幸せ者だな、俺は」


太一さんはすこぶる真面目な表情で言葉を紡ぐ。


「それを言うなら私です。太一さんの花嫁になれたなんて――」
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