激愛~一途な御曹司は高嶺の花を娶りたい~
「邪魔なんだよ」


しかし彼が怒りに任せて花を踏みにじるので、顔が引きつる。


「やめてください。花に罪はありません」
「は? 花屋ごときが口答えするな」


さらに彼は他の花まで踏みつけ始めるので、花と彼の間に体を割って滑り込ませた。


「板垣(いたがき)さん、やめましょう」


宝生さんが慌てて彼の腕を引いて止めてくれたものの、激しい憤りが抑えきれない。


「この花たちは、この空間を飾るためにここにあるんです。あなたに踏まれるためじゃない」


しまった。反論してしまった。

けれども、とても我慢できなかった。

花だって生き物だ。
ようやく鮮やかに咲き誇ったのに一瞬で殺されてしまったようなもの。

一本一本愛情をこめて手入れした花たちは、私のかわいい子供も同然の存在だったのに。


「生意気な」


板垣さんが怒りの形相で私をにらみつける。
しかし私は間違ったことは口にしていないと、顔を上げていた。


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