激愛~一途な御曹司は高嶺の花を娶りたい~
「ごめんね。私が話に夢中になっていたのが悪いんだ。もっと早く気づけばよかったのに」


すると、なんと宝生さんが謝ってくれる。


「いえっ」
「いつも君が生けているの?」
「はい」


険しい表情の板垣さんとは対照的に、宝生さんは緩やかに口の端を上げる。


「そう。ここに来るといつも癒されているよ。きれいな花をありがとう」


思いがけずお礼をされて、目を瞠る。


「板垣さん、このフロアは会社中の注目を浴びていますよ。部下に示しがつかなくなるような行動はお避けになるべきかと。社長の顔に泥を塗ることになります」


あきらかに年下の宝生さんが柔らかい口調で告げる。
しかしその内容は板垣さんの行動を非難したものだった。

そのあと、宝生さんは私に目配せしてから、まだなにか言いたげだった板垣さんをなかば無理やり連れ去った。


「助かった」


でもこのお花、どうしよう。


「ごめんね、痛かったよね」


植物に話しかけるのはいつもの癖。
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