激愛～一途な御曹司は高嶺の花を娶りたい～

「とってもきれいに咲いてくれてありがとう。これならここの会社の人たちにも愛してもらえると思うな。こっちのつぼみは、明日くらいには咲くわね。もう少し目立つところに出てこようか」


ひとり言かと思えば、彼女は花に話しかけていた。
なんて温かい心を持っているのだろう。

顔を見合わせた宮城さんは俺と同じ気持ちだったようで、頬を緩ませている。


「優しい人だよね、彼女」
「そうですね」


雨が降り始めたとき、自分より花を守ろうとした彼女は、とてもピュアな心の持ち主だ。


そのうちエレベーターから背の高い男が下りてきて、彼女の近くに歩み寄っていく。
そしてなにやら楽しげに話を始めた。


「こんにちは。今日もお疲れさまです」
「高畑(たかばた)さん！　お世話になります」


白い歯を見せる重森さんを見て、胸がもやもやする。


「例の件はいかがです？　明日にでもどうかなと……」