激愛~一途な御曹司は高嶺の花を娶りたい~
たくさんの料理が座卓にずらりと並び仲居さんが出ていくと、視線を感じて宝生さんのほうを向く。

すると彼はなぜか優しい笑みを浮かべながら私を凝視していた。


あれっ、なにかおかしかった? 
早速作法が間違っている?

花についてならなんでも答えられるくらい詳しいけれど、料亭での振る舞いなんて知らない。


「も、申し訳ありません。宝生さんに恥をかかせてしまったでしょうか?」

「私に? とんでもない。かわいらしい方だなと思って見ていただけですよ。あっ、こちらこそ見すぎていましたでしょうか?」


み、見すぎて?


「い、いえっ」


冷や汗が出る。
そんなに見たって、ボロしか出ないと思うけど。

でも、『かわいらしい』なんて初めて褒められたかも。

わりとサバサバした性格だからか、フローリストの後輩に『かっこいい』と言われたことはあるけれど。

< 6 / 333 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop