激愛~一途な御曹司は高嶺の花を娶りたい~
なんとなく気まずくなってふと窓の外に視線を移すと、庭に梅の花が咲き始めていて目を奪われた。


「わぁ、きれい」


大きな声が出てしまい、ハッとした。

しまった。
花を見るとどうしても素に戻り、はしゃいでしまう。


「すみ――」
「ですよね。私も先ほどから見入っていたんです。まだ気温が低いのに健気に花を開いて、冬の景色に彩を添える。見ているこちらが頑張ろうと思えます」


『すみません』と謝罪しようとしたのに、彼がそう口にするので驚いた。


「はい」
「まるで、あなたのようだ」


彼が私に視線を絡ませて真剣な表情でささやくので、息が止まりそうになる。


「私?」


どういう意味?


「なんでもありません。重森さん、お酒は飲める口ですか?」
「はい。多少なら」


なんて猫をかぶった。
アルコールは結構好きなのだ。
強いと自慢できるほどではないけれど。
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