守られて、愛されて。
【専務室】と書かれたドアをノックし、「上条です」と言うとドアが突然開いた。
「うわぁっ!? 」
郁萌さんらしき人に手を引っ張られ部屋の中に入ると、ギュッと抱きしめられた。
「花奈ちゃん」
「あ、あの……い、郁萌さん……」
これはどういう状況……なのか。どうしたらいいのかわからない。
「一ヶ月」
「え? 」
「俺、今から花奈ちゃんに好きになってもらうから」
好き? 何を言ってるの……?
「え、と……突然なんで、」
「愛のない結婚が嫌なんだよね? だったら、君に好きになってもらうしかないでしょ?」
「そう、なんですか……? 」
「だから、好きにさせるから……覚悟して」
郁萌さんは、私のことどうおもってるのだろうか……?
「郁萌さんは……私のこと、どう思って─︎─︎─︎」
「俺は好きだよ、花奈ちゃんのこと……愛はあるね」
そんなことをサラッと言うなんて……女慣れしてるよね。
「花奈ちゃん、俺女慣れとかしてないよ? ずっと仕事が恋人だったし」
「え……」
「一応言うけど、告白したの初めてだからね?」
そう言ってまたぎゅっと抱きしめて、郁萌さんは「充電完了〜」と言うと私に笑いかけた。