守られて、愛されて。
無事、終業時間には仕事が終わり定時で上がれた私は、バスで高級住宅街にある自宅へむかう。
自宅に着くと、使用人の木村さんに迎えられ「奥様がお待ちでございます」と言われて母のいる部屋へと向かった。
部屋の前に立ちノックを二回し、部屋の中へ入った。
「花奈です、ただいま帰りました」
「おかえり……さぁ、時間がないわ早く支度をしましょうか」
母が言ったのは私ではなく使用人に。私にと、父・和也(かずや)が用意してくれたピンクの振袖を着た。父はどういう想いがあって買ったのか分からないけど……。
これは、きっと最初で最後のプレゼントだと思う。だって私は……この家には要らない子、なんだから。
「さぁ、行きましょう……貴女、粗相のないようにね」
「はい」
私と母は、上条家の車に乗りお見合いがある料亭へと向かった。