守られて、愛されて。
「……花奈」
郁萌さんは、ぎゅっとする左腕を強くして右手で優しく頭を撫でた。
「…頑張ったね」
「……」
「辛かったね」
「……」
「もう大丈夫だ、もう花奈のこと一人にしないから……今まで寂しくて辛かった分、俺が幸せにするよ」
郁萌さんのひとつひとつの言葉が、私の心を溶かしていく……。
「俺は、花奈が好きだ……どんな境遇だろうが関係ない。俺は写真で見た時、一目惚れして……お見合いの時は花奈がすごく綺麗になってて二度目惚れしたんだよ」
「…見た目、だけなの? 」
「いやいや、違って……見た目だけじゃなくて、出勤時間早めて掃除の人と一緒に掃除してたり、給湯室のお湯の準備とか率先してたり他人を思いやれるところが好きだし、食事のマナーというか箸の使い方が綺麗なところが好き、仕事中に合間合間でコーヒーを淹れてるとことか……もう、言ったらキリないよ」
好き好き攻撃に私は、死んでしまいそうになるくらいドキドキしている。あぁ、私は……知らない間に恋してるのかもしれない。
「ねぇ、郁萌さん……私、郁萌さんのことが」
好き、だって言おうとした時……ピンポーンとインターホンが鳴った。