守られて、愛されて。
* * *
「花奈、急かしたくはない……だけど、あんなことがあって最善の策があまりない。親父たちもそれが一番いいって思ってる」
「うん……」
「俺は、花奈が好きだ……守りたいって思える唯一の存在で、ずっと一緒にいたいって思ってる」
なんでこの人は私のことに一生懸命になってくれるんだろう……。
「はっきり言って、花奈のことをあんな目に合わせた彼女を許せないんだ。」
「……どうして?」
「え……?」
「どうして……私なんかに、一生懸命になってくれるの?」
郁萌さんがぎゅっと抱きしめるとすぐに「大好きだからだよ」と呟いた。
「だけど……言ったでしょ、私は不倫によって生まれたんだよ? 今まで、上条の玩具で……身体を、売られたことも何度もあったし私は─︎─︎─︎」
「……は? なんだよ、それ……っ」
「あはは……嫌いに、なっちゃった? ごめんね……汚いよね軽蔑したよねっ、やっぱり嫌になるよねっ」
私は涙が溢れそうになって彼の顔が見れない……もう嫌だ。郁萌さんに、嫌われた……かも。
「……ごめんなさい、私帰ります。もう、破談にして頂いて大丈夫です。」
「何、言ってんの……っ」
彼は私の腕を掴み、私をまた彼に強く抱きしめられて逃げられなくなる。