守られて、愛されて。
─︎─︎─︎料亭【桜桃】、個室にて。
「はじめまして上条花奈です……よろしくお願いします」
「武智郁萌です、よろしくお願いします」
武智さん、初めて見たけど……噂通りのイケメンさんだ。彼は、igarAshiの御曹司・五十嵐麗央さんの秘書をずっとやっていて今年戻ってきたらしい。
「倅は、まだまだ新米でして……花奈さんはうちで働いてもう3年くらいでしょう? 花奈さんの方が仕事ができると思いますよ」
「あ、ありがとうございます……」
「ははっ……花奈さんみたいな子が嫁いでくれたら嬉しいよ、な? 郁萌? 」
こんなに褒められるのはなかったからか動揺する。だけど、ここは笑顔だ……と気を引き締めて笑ってみる。
「はい、そうですね……笑うと向日葵が咲いたみたいで可愛いです」
「か、かわっ……いや、ありがとうございます」
可愛いとか唐突に言わないで……心臓に悪い。
「父さん、花奈ちゃんと二人になりたいんだけど……いいかな? 」
「あぁ、ゆっくりしたらいいよ花奈さんよろしくね」
私が「はい」と返事すると武智社長と奥様、私の両親に見送られ、私と武智さんは庭園へと向かった。