守られて、愛されて。


「何言ってんだよ、バカ!!破談になんかしねーよ!帰るなよっ!そんな家に、帰るんじゃねーよ……守ってやる。絶対守ってやるから……っ」

「いく、もさん……」

初めて見た……こんなに怒ってる郁萌さんを。それに、男の人の涙も、初めてみた。

「もう、我慢するな。耐えるな。頼りないかもしれんけど、俺に甘えろよ……俺が一生かけて愛してやる」

「私……郁萌さんと一緒にいていい、の?」

「もちろん」

「ずっと? ずっと一緒にいてくれる……っ?」

「あぁ、ずっと一緒にいるって約束する」

私はずっと諦めてきた……私は幸せになれないって思って生きてきて、誰も愛してなんでくれないんだって生きてきた……それは死ぬまで変わらないって思ってたのに。

「……」

「結婚しよう、花奈……言葉じゃ表せないくら位に、好きだよ」

「郁萌さん……私も、好きですっ」

「めちゃくちゃ嬉しいよ、ありがとう……これってオーケーってことでいいんだよね?」

私は彼に頷くと、すぐにタンスの中からあの紙を取り出した。

「サイン、してくれますか?」

郁萌さんに渡されたその婚姻届とボールペンを受け取り、名前を書いていく。そんなことなのに、とても幸せを感じた。






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