守られて、愛されて。


庭園の入り口に出ると、武智さんに付いて石畳みが続いている道を歩いて行く。

「ここで少しだけ話しましょうか」

武智さんは木のベンチへの方向を歩くと、そこへ座ったので私もその隣に座る。

「大丈夫? 疲れたでしょ? 」

「あ、いえ……その」

「俺は疲れた……正直いうと、ああいう席は苦手なんだよね」

武智さんは「ははっ」と笑いこちらをみた。こんな近くでイケメンの顔を見れるなんて女子社員に嫌味を言われそうだ。

「えっと、花奈ちゃんって呼んでいいかな? 」

会食の時もそうだったけど、名前を呼ばれて動揺して噛んじゃった。恥ずかしい。

「あ、はい……大丈夫、です」

「良かった……花奈ちゃんはなんで笑顔を作ってるの? 」

え……っ

「やっぱり結婚するなら、お互いのこと知ってなきゃ始まらないかなぁって」

あ、ああ……そういうことか。やはりこの人はお見合い、受けるのかな……。

「それに、政略結婚だとしても仮面夫婦は嫌だし」

「そ、そうですね……」

その後は、少しお話をして連絡先を交換してからお開きになった。



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