僕からの溺愛特等席
るろうの心


「はい、僕たちの家に着きましたよ」


 糸くんはちょっとイタズラに笑い、手を掴んで私を店の中に誘い込んだ。


「ここは、糸くんのお店で、お家でしょ」

「もう少しだけ……」



 私の髪に手を伸ばし、弄んだかと思うと首筋、そして、鎖骨にすうっと触れてくる。


私は反射的に身体を縮こめ、くすぐったい感覚に耐える。



「うぶだね、野間さん。彼氏がいたのに慣れてないの?」

「だ、だって……」


元彼はこんな触り方しなかったよ! と大声で訴えたい。


「ああ、良いんですよそのままで。僕にだけ、敏感でいてくれれば」

「ええ? ………」

「なんでもないです。さあ、僕の部屋にどうぞ」



 多分糸くんは凄くモテるタイプなのだろう。

彼の立ち居振る舞いから、なかなかの紳士さが伺える。


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