僕からの溺愛特等席
私はいつも、決まってカウンターに座る。
この店は二代目マスターが一人で切り盛りしているため、
店自体はこじんまりとしていて、昔ながらを味わえる常連客の多い喫茶店だ。
私はマスターがコーヒーを入れる所をそっと見守り、小鳥のさえずり程度の音で流れるBGMを楽しむ。
カウンターの端っこでのんびりと過ごし、マスターと喋る………この時間が私のたった一つの趣味になっていた。
お客さんは私以外にカップルと思われる男女と、静かに新聞を広げている老人の二組だけで、
この場所だけは、ゆっくりと時間が流れているように感じる。
そう、ここは知る人ぞ知る、穴場スポット。
────『喫茶 ヴァン・ダイン』