僕からの溺愛特等席
「そうかなあ。ばあちゃんいつもツンケンしてるから、てっきり迷惑してるのかと」
相馬さんは足元に視線を落とす。
そんなことない、と私は首を振った。
「ただ、恥ずかしいんですよ。実際に佳代さん喜んでましたし。………あ、これ私が言ったって内緒ですよ?」
「言いませんよ」相馬さんが肩をすくめる。
「三春さんが、ばあちゃんに怒られてるとこ見たくないし」
可笑しそうに言う。
「ありがとうございます。何かあれば、気軽に相談してくださいね」
相馬さんは佳代さんのことを誰よりも心配している。佳代さんもそれを喜んでいた。
「たった一人、自分を心配して、気にかけてくれる孫がいるだけで、私は幸せだ」と。
しかし、こうも言った。
「仕事の合間を縫って来て、彼は休めているのかしら。
もしかすると、私のことが重荷になってるかもしれない」
と窓の外に顔を向け、静かに呟いた。