僕からの溺愛特等席


「そう言えば」と、当麻さんが口を開けた。



「三春さんと糸って同棲でもしてるの?」


 ドウセイ? あ、同棲か。



脳内で変換するのに時間がかかった。



「いや、まさか、違いますよ!」


私は慌てて否定した。


「違うよ」と糸くんも小さい声で言う。



「じゃあ、今日はなんでここに?」


その質問は単純な疑問だったのだろう。
開店前の喫茶店でトーストを齧っているんだから、当たり前とも思える質問だ。



「それは、あの……」

これは、泥酔した事を話さなきゃいけないのか? 


それとも曖昧にはぐらかそうか。


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