僕からの溺愛特等席
「危なっかしいお姫様ですね」
「そんないいもんじゃないけれど、返す言葉もございません………」
「足、くじいたりしてないですか?」
「うん。糸くんが支えてくれたから、大丈夫」
本当に?と言いたげに眉をひそめる。
よっぽど私が我慢しているみたいに見えたのか
「でも、念の為に足見せてください」
と糸くんに、助手席に腰掛けるように言われる。足を外へ出すように座り、その前に彼がしゃがむ。
少し冷たい手が私の足に触れた。
「痛く、ないですか」
「うん。ちょっとくすぐったいよ、糸くん」
私が足をもぞもぞさせて、手から逃れようとした時、糸くんはガラス細工のような繊細な声で言った。
「ストップ」
「え?」
「動かないで」
糸くんは私の足を少し持ち上げて顔を寄せる。
「ちょっと、糸くん!?」
足を引こうと試みるが、糸くんによって静かに制される。
「いいから」
「……っ!」
私が大人しくなると目の前の彼は、満足気な微笑を浮かべて────足へそっとキスを落とした。