僕からの溺愛特等席
「僕と付き合ってよ……お願い」
「ありがとう」
好きになってくれて。とても嬉しかった。
「え、良いんですか……」
うっとりとした目で糸くんは私の両手を包む。
「もし、仮に断られたとしても、閉じ込めてしまうんで意味ないんですけどね」
「いや、私まだ返事してない……」
「まさか、断るんですか?」
まるで手負いの獣のような危険さを醸し出している糸くんは手の付けようがなかった。
もはや断るという選択肢は無いようで、私は苦笑いを浮かべる。
「とりあえず、悪いようにはしないんで安心してください。僕に愛されていれば良いんですよ」
どうやらもう、ご機嫌になった糸くんは車を発進させていた。