愛を孕む~御曹司の迸る激情~
「えっ、出張!?!?」
「来週末さ、大阪で新商品の試飲イベントがあるんだけど、それにパリのスポンサーが視察にくるっていうんだ。だから、うちからも誰か出してくれって言われちゃってさ。」
私はあまりのことに呆然とした。広報課にいる間、外回りに出ることはあっても、出張なんて一度もなかった。
「あの、どうして私なんですか.....?」
「向こうも通訳は手配してるらしいんだけどね?一応、こっちもフランス語ができる社員の方が安心かなーと思って。」
ニコッと笑う成宮さんを見て、その瞬間嫌な予感がした。
「ちなみに俺も行くから。」
私の嫌な予感が的中し、思わず顔が引きつった。
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そんなわけで、私たちは土曜の朝から新幹線に乗っていた。
「おい、なんで俺が後ろの席なんだよっ。」
すると通路側に座っていた私に対し、後ろの席から覗き込むようにして言ってくる須崎くん。
今回のイベントには、うちと取引のある会社がいくつも視察にくることが決まっていて、その担当の営業員はみんな借り出された。そして、須崎くんもそのうちの一人。
でも、私がそのことを知ったのは東京駅に着いた時で、改札の前で並ぶ二人の姿を見て驚愕した。