愛を孕む~御曹司の迸る激情~
それから2時間が経ち、大阪についた私たちはタクシーを拾うと、ほどなくして会場に到着した。
「これ、関係者用のパスです。」
「さんきゅっ。」
「ありがとう。」
そして、須崎くんから渡されたパスを首から下げ、ロビーを抜けて会場に入った。
大きな扉を開けた先には、ステージもある広いホールが広がっていた。いくつものブースには、レギュラー商品から夏季限定商品まで多くのものが並んでいる。そして、その中央には大々的に新商品のブースが作られていて、大型ビジョンには新しいCMが流れていた。
「結構広い会場でやるんですねー。」
須崎くんは営業部の人たちに呼ばれて行ってしまい、成宮さんと共に残された私は、初めて見るCMに目を向けながら驚いてそう言った。
すると、私の隣からスッといなくなった成宮さん。
「まあな、今回は力入れてるんだろ。特に、あのヨーコ・ハセガワとのコラボ商品だし。」
そう言って、近くのブースに向かって歩き始めていた。
「ヨーコ・ハセガワって言ったら、パリコレにも長年出展してる有名デザイナーですよね?よく引き受けてくれましたね。」
そう言いながら、慌てて彼の背中を追いかける。
パリを拠点にファッション業界の第一線で、長く活躍を続ける有名デザイナー――ヨーコ・ハセガワ。日本の一企業が、契約したコラボ商品は、トップニュースを飾ることもあったほど、話題性は抜群だった。