愛を孕む~御曹司の迸る激情~
今回コラボすることになったのは、新商品のワイン。そのラベルデザインを、ヨーコ・ハセガワが担当することになり、他社からも大きく注目されていた。
そのおかげか、大阪で開催するイベントにも関わらず、都内の企業からは多くの人が見に来ることになっていた。
「まっ、俺らの仕事は明日。今日は裏方に回るから、とりあえず会場見学ってことで。」
「はい。」
私は成宮さんにそう促され、会場のブースを一緒に回り始めた。
それから昼食を挟み試飲会が始まると、次第に会場は人で溢れてきた。
「そういえば、今回のイベントってなんで大阪だったんですか?こんなに力入れてるなら、都内の方が良さそうですけど。」
今日は企業向けの試飲会で、見渡す限りスーツを着た人たちばかり。私は笑顔で受付に立ちながら、隣にいる成宮さんに向かってボソッとそう言った。
すると、持っていたファイルの中からおもむろに一枚の紙を取り出すと、私の前にスッと差し出した。
『ヨーコ・ハセガワ 日本初の個展が開幕!!』
大きく見出しが書かれたチラシだった。
「ああ、これ知ってます!」
私はネットニュースで目にしたことのあるその見出しを見て、思い出したように声を上げた。